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身体を構成する細胞の中には、デオキシリボ核酸(DNA)を蓄えた核があります。DNAは、糖(デオキシリボース)とリン酸に4種類の塩基(アデニン、シトシン、グアニン、チミン)が連なってできています。このDNAは、身体をどう作るかといった情報を蓄積、保存している物質です。この情報を遺伝子といいます。
ヒトのDNAの塩基配列は、2003年に解析が終了しており、約30憶個の塩基が並んでいることが分かっています。ヒトとチンパンジーではわずか約1%しか違いが無く、個人間では約0.1%しか違いがないと言われています。私たちの体では、このDNAの情報を基に蛋白質が作られて、蛋白質が生命活動に必要なさまざまな働きをして生きることができます。
身体を作る情報である遺伝子に異常があることを遺伝子変異といいます。もし自分の身体に遺伝子変異があると言われると怖い気がするかもしれません、しかし、必ずしもそのようなことはありません。
私たちの体内では、紫外線やたばこ、化学物質など、さまざまな原因によって日常的に遺伝子の変異が起きていします。そして、同時にこれらの遺伝子変異に対する修復も同時に行われています。しかし、この修復のシステムがうまく働かないと、遺伝子に変異が蓄積され病気になってしまいます。
世界で初めてヒトのDNAの塩基配列を調べた(遺伝子解析)際には、何十憶ドルのコストと10年の時間が必要でしたが、現在では数百ドル、数日で解析ができるようになりました。
医療現場では、この遺伝子解析技術を応用し、遺伝性の病気が疑われる患者さんに対して遺伝子解析を行い、どの遺伝子変異があるかを見つけ診断に応用されています。さらに、同じ遺伝性の病気でも遺伝子変異の種類によって、薬の治療効果や副作用が異なることがあります。この遺伝子解析を用いて、最適な治療薬の選択や治療方針の決定に応用されています。