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2019年12月 4日更新

ニューヨークで運転免許

アメリカに到着して、住居や電話などの必要最優先事項を片付けて、さて次に必要になるのが車ですね。ニューヨークもシティの一部を除いては、日々の生活に車は欠かせません。当面は国際免許でしのげるとしても、この先何年かはここで生活するわけですから、運転免許は必需品です。

さて、国際免許ですが、これは日本の免許の補助、あるいは翻訳と考えてください。DMVの見解は外国の有効な免許があればNY州内の運転は認められる、ただし外国免許が英語以外の言語で書かれている場合は、正式な翻訳を必要とする、というものです。

また、DMVのサイトにある、「NY州の居住者になってから1か月以内に免許を取得しなければならない」という項目に、そんなに早く免許は取れないと驚く方も多いのですが、これは他州からNY州に越してきた人が、他州免許をNY州の免許に切り替えることを想定しているものですので、免許を全く持っていない人が対象にはなっていません。

ただし、何か月も国際免許で運転できるかどうかは、保証のかぎりではありません。国際免許はあくまでも旅行者の便宜を図るものですので、居住者になった以上は、できるだけ早くNY州の免許を取得したほうがよいでしょう。

当校へのお問い合わせでよく聞かれるのが、教習所はどこにあるのですか?という質問です。でも皆さんがイメージしているような、周回コースがあって、S字やクランクがあって、という練習場は存在しません。運転が初めての初心者の方でも、公道で練習します。

また、よく聞かれるのが「路上テスト前にどのくらい練習すればいいか」という質問です。これは日本の教習所のように、生徒さんの99.99%が運転初心者という環境ではないので、一律これだけ練習してください、というのは難しいです。また、こちらでは何時間練習しなければ、路上テストが受けられないという規則もありません。(ただし、16歳、17歳で免許を取る場合は50時間のレッスンを課せられます)

目安としては初心者で15~20時間、ペーパードライバーが5~6時間、というところでしょうか。

日本でも運転していたし、こちらに来てからも毎日運転しているから、練習は必要ないと思われるでしょう。確かに練習なしでもテストに合格される方もたくさんいらっしゃいます。しかしながら運転は慣れているはずの方でも1回、2回と失敗される場合もあります。当校のインストラクターが、長年皆さんの路上テストにお付き合いして、不合格になってしまう要因を挙げています。

  • あがってしまう
  • 交通ルールを理解していない
  • 長年の運転のクセが出てしまう
  • テスト向きの運転ができない
  • 試験官の英語の指示がよくわからない

当校のサービスの一つ、路上テストパッケージには直前に短い練習時間を設けています。その時に皆さんは縦列駐車やターンの練習をご希望されますが、実はテストでは駐車やターンよりも、交差点での曲がり方や確認の仕方が正しくない、交通規則がわかっていないという理由で落とされる場合のほうがずっと多いのです。

昨今の経済事情から、できるだけ費用をかけずに免許を取得したいとお考えなのはよくわかります。でも、ニューヨークでの運転は日本での運転と大きく違うところがたくさんあります。交通法規や慣習も違います。それをよく理解せず、今まで事故を起こしていなかったから、という理由であやふやな知識のまま運転を続けるのは非常に危険です。当校では路上テストに合格するための教習だけでなく、今後米国で安全に運転をするための必要最低限の知識をお教えすることも、大きな使命と考えています。

米国の大手日本法人の人事の方に伺ったのですが、社用車を使用する営業職の方のうち、日本からの駐在の方の事故は、現地の方より圧倒的に多いそうです。事故に巻き込まれてしまったら、それにかかる費用も時間も莫大です。

一度ご自分の運転を見直してみるよい機会ととらえ、ぜひ一度は運転教習を受けてみてください。

ニューヨーク州の免許には、現在「Enhanced」「REAL ID」「Standard」の3種類があります。「Enhanced」はアメリカ市民しか取れませんので除外するとして、免許を申請に行くと「REAL ID」か「Standard」かどちらにするか、と尋ねられます。2020年10月よりアメリカの国内線の搭乗時、あるいは連邦ビルに入る時には「REAL ID」が求められるようになります。出張など、飛行機をよく利用される方は「REAL ID」を取得しておいた方が便利でしょう。

外国人の免許証には免許そのものの期限とは別に、I-94の滞在期限が免許証の期限が記載されています。

ちょっと分かりにくいのですが、アメリカ人、あるいはグリーンカード保持者が新しく免許を取得した場合の有効期限は4~5年後の誕生日となります。でも外国人はI-94の滞在期限までしか免許は有効ではありません。「Standard」免許には「TEMP. VISITOR Expires」という欄があり、ここにI-94の有効期限が、「Expires」欄には数年先の誕生日が記載されているはずです。

「REAL ID」免許は右肩に星のマークが入っています。この免許には「TEMP. VISITOR Expires」欄がないかわりにLIMITED-TERMと書かれており、「Expires」がI-94の有効期限になっています。

どちらも運転できるのはI-94の期限までです。これが切れている免許を持っていると、何か免許を提示する場面になった時に不法滞在を疑われます。「REAL ID」免許だと失効した免許証になってしまいます。

出入国のたびにI-94の期限は変更されるので、毎回免許を更新する必要はないかもしれませんが、切れる前にはDMVに行き、必要書類と新しいI-94を提示して期限を更新するのを忘れないでください。

ニューヨークでは様々な人が運転しています。無免許の人もかなりの数いると言われていますし、ビックリするような個性的な(迷惑な、とも言う)運転をする人もいます。事故の相手がちゃんと保険に加入しているとわかると、悪徳弁護士と組んで法外な請求を吹っ掛けられることもあります。

ただでさえストレスの多い英語での生活で、さらに事故だ違反だとさらなるストレスにさらされないよう、必要な知識を身につけ、正しい運転、安全な運転で、ニューヨーク生活を楽しんでいただけるよう、お手伝いができれば幸いです。

今回のコラムニスト
Fuji Driving School, Inc.
大塚 豊 (おおつか ゆたか)

1990年渡米。医療関係、輸出業を経て2000年よりNY州のドライビング・インストラクターとして従事。2008年Fuji Driving School を設立し、現在に至る。

info@fujidrivingschoolnyc.com
https://www.fujidrivingschool.com/

2019年12月 4日更新

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