JMSA Science Forum運営メンバーが送る暮らしのコラム

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2018年 3月 1日更新

第4回 : うがいって効果はあるの?

うがいを実施していますか?

この時期は、風邪や、特に今シーズンに至ってはインフルエンザが猛威を振るっています。思い返すと、幼少期には風邪の予防に「うがい、手洗いをしっかり」などとよく言われたものですが、こちらアメリカでは、あまり熱心にうがい(Gargle)を促している様子はありません。実際にはうがいで風邪は予防できるのでしょうか?

うがいの効果

日本では、伝統的にうがいが推奨されてきました。風邪やインフルエンザの原因となるウイルスの増殖には、ダニなどから分泌される酵素が影響していると考えられています。これらの酵素は、日常生活の中でヒトの喉や鼻に自然と分布し、うがいをすることでこれらの酵素を洗い流すことが、風邪やインフルエンザの予防につながると考えられています [1] 。また、喉の痛みに対しては、実はうがい自体が喉の痛みを軽減するという実証は今の所はありません。しかし、うがいによって喉を潤すことで、痛みが軽減すると考えられています。

うがいについての研究

調べてみると、医学の研究の世界においても、欧米ではうがいの喉の痛みへの効果やうがいによる風邪の予防効果を調べる研究は全くと言っていいほど実施されていませんでした。逆に風邪の予防を目的に実施されたもっとも信頼できる研究は、健常な日本人が対象であり[2]、その意味で、読者の日本人の方々にとってはより身近な研究結果といえます。この研究では、上気道炎いわゆる風邪の予防を効果の指標にしています。参加者は「水でうがいをするグループ」「可愛らしいマスコットでお馴染みの7%市販うがい薬希釈液(ポビドンヨード)でうがいをするグループ」、そして特にうがいについての指導はせずに「普段通りの自己流でうがいをするグループ」の3つに分けられました。水うがいのグループと市販のうがい薬でうがいをするグループに割り当てられた参加者には、指導として、1回のうがい実施につき1回15秒のうがいを3回することとして、これを1日に最低3回実施しました。結果としては、自己流と比較すると指導を受けた水うがいのグループでは、風邪の発症が少なくなりました。一方で、興味深いことに市販のうがい薬でうがいをしたグループは、自己流と比較して風邪の発症に大きな差がありませんでした。

うがいとうがい薬

上記のように、水とポピドンヨードを同じように使用して比較した研究では、水でのうがいに効果がありました。しかし、いくつかのうがい薬を比較した研究では、殺菌効果、味や匂いといった使用後の感想、風邪やインフルエンザでの欠席日数のいずれも、ポピドンヨードが好ましい結果を示しており[3]、この点からも結果的には、水でのうがいがもっとも簡便で効果も高いと考えられます。

お勧めうがい習慣:うがいをしましょう!

実際のところ、上記の日本のうがい研究では、水よりも市販うがい薬が風邪の予防に優れているのか、あるいはうがいの指導自体が自己流と比べて効果の違いを生んだのかはっきりはしません。それでも、水で予防ができるのならば安いものと思います。個人的にはこの実験での指導に従い、水を使って1日3回、一度に15秒のうがいを3回続けて実施してみることをお勧めします。

参考文献:
[1] Akaike T, Maeda H, Maruo K, Sakata Y, Sato K. 『Potentiation ofinfectivity and pathogenesis of influenza A virus by a house dustmite protease. J Infect Dis 170: 1023-1026, 1994.
[2] Satomura K, Kitamura T, Kawamura T, et al. 『Prevention of upperrespiratory tract infections by gargling: a randomized trial. Am JPrev Med 29: 302-307, 2005.
[3] Shiraishi T, Nakagawa Y. 『Evaluation of the Bactericidal Activity ofPovidone-Iodine and CommerciallyAvailable Gargle Preparations. Dermatology 2002;204(suppl 1):37–41

今回のコラムニスト
ベスイスラエル病院内科 小畑 礼一郎(おばた れいいちろう)

慶應義塾大学医学部卒業。日本で初期研修を修了し、その後に救急専門医を取得。2017年よりMt. Sinai Beth Israel病院で内科研修を開始。

2018年 3月 1日更新

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